川柳共感 11
5月は、新生活がちょっと板についてきて、でもまだ慣れない——そんな端境期。お題「若葉の頃」に届いた川石のりたけさんの一句を、じっくり味わいます。
ここが好き
手汗かき / アクセル踏めぬ / 若葉貼り
**「若葉貼り」**の一語に二つの意味がきれいに重なっています。
季語としての若葉——5月、街路樹がふわっと萌えるあの若々しい緑。そして車に貼る若葉マーク——免許を取り立て、まだ運転に自信がないドライバーの印。
「若葉」と聞いて新緑を思い浮かべた読み手は、最後の「貼り」でハッとさせられます。ああ、車のあれか、と。この“ズレ”の瞬間が気持ちいい。
じっくり味わう
「手汗かき / アクセル踏めぬ」のリアリティもたまらない。
免許取り立ての頃、信号が青になっても、後ろの車にプレッシャーを感じながら、なかなかアクセルが踏み込めない——あのなんとも言えない緊張感。手のひらにじわっと汗をかく感じ、覚えがある人も多いのではないでしょうか。
そして、その緊張のドライバーを乗せた車が、若葉萌える五月の道を走っていると思うと、景色まで見えてきます。新緑のトンネルの中を、おっかなびっくり進む小さな車。怖いけど、美しい。人生の比喩としても効いている。新しい何かを始めたとき、誰だって一度は若葉マークでした。手汗をかきながら、アクセルが踏めなくて、それでも前に進もうとした時期が。
まとめ
掛詞ひとつで、季節の風景と人生のひとこまが重なってしまう。川柳のおもしろさが詰まった一句でした。
川石のりたけさん、見事な一句をありがとうございます。みなさんにも、手汗をかいた“若葉の頃”、ありませんでしたか?