お題の振り返り

いちばんいい席は、すぐそばに — 「今日の特等席」31句

2026年8月5日

ぴえ子
自由律共感 10
俳句共感 9
俳句共感 7
俳句共感 6
名無しの詠み人
自由律共感 6

フォトお題**「今日の特等席」**が終わりました。31句の投稿、ありがとうございました! 自由詩10・俳句9・川柳7・短歌5という内訳です。

「特等席」というと、なんだか豪華な場所を思い浮かべますよね。展望台とか、スタジアムのいい席とか。でも31句を並べてみると——みんなの特等席は、驚くほど身近でした。エアコンの前、猫の隣、母の膝、窓辺。そして気づけば、その席の主は、たいてい猫(笑)。いちばんいい場所は、案外すぐそばにある——そんな31句から、5句をご紹介します。

①エアコンの前こそ、我が玉座 — ぴえ子さんの自由詩

朝日が来たぜ / エアコンの前 / それが俺の特等席だ / もう動きたくねえ

10共感でトップ。ぴえ子さんの自由詩。

まずは、いちばん正直で、いちばん共感を集めた特等席から(笑)。朝日が差してきた、暑くなるぞ——というわけで、陣取るのはエアコンの真ん前「それが俺の特等席だ」と高らかに宣言し、そして「もう動きたくねえ」。展望台でも特等席でもない。冷風がいちばん当たる、その一点。夏を生きぬく人類の、切実でぐうたらな真実です(笑)。この堂々とした宣言っぷりが、たまらなく気持ちいい一句でした。

②猫を隣に、西日を浴びて — MaYoさんの俳句

防波堤 / 猫を隣に / 西日かな

9共感MaYoさんの俳句。

一転して、こちらはしみじみと美しい特等席。防波堤に腰かけて、夕方の西日を浴びている。そして隣には——。餌をやるでも、抱くでもなく、ただ並んで、同じ夕日を見ている。この、猫とのほどよい距離がいいんですよね。会話もない。でも、ひとりじゃない。海と、夕日と、隣の猫。お金では買えない特等席が、防波堤の上にありました。

③特等席の、ほんとうの主 — 日常生活さんの俳句

朝日さす / 窓辺の猫の / 特等席

7共感日常生活さんの俳句。

そして、真実が告げられます(笑)。朝日のさす、いちばん気持ちのいい窓辺。そこは、猫の特等席でした。人間がどれだけ「いい場所だな」と思っても、気づけばそこには、先客の猫が丸くなっている。しかも、どかない。家の中のいちばんいい席は、たいてい猫のもの——猫と暮らす人なら、深くうなずくしかない一句です。①のぴえ子さんがエアコン前を勝ち取ったのとは対照的に、こちらは猫に明け渡しているのが、また微笑ましい。

④母の膝より、良い席はあるか — うたまるさんの俳句

夏夜中 / 母の膝より / 良き席か

6共感うたまるさんの俳句。

こちらは、記憶の中の特等席。夏の夜中、眠れない子どもにとって、母の膝にまさる場所はない。**「良き席か」**という問いかけの形が、いいんですよね。問うまでもない。あれ以上の特等席なんて、この世にない。大人になった今、ふり返って、そう気づく。ひんやりしたどんな椅子より、あたたかかった母の膝。いちばんの特等席は、もう座れない場所にあるのかもしれません。じんとくる一句です。

⑤月を見る、無人の特等席 — 名無しの詠み人さんの自由詩

夜明け前 / 月はまだ見える特等席に / 誰も座っていない

最後は、名無しの詠み人さんの自由詩。6共感

締めは、だれもいない特等席で。夜明け前、まだ月が見えている、いちばんの場所。「特等席」なのに、「誰も座っていない」。——この静けさが、胸に沁みます。みんなが眠っている時間、その特等席は、ぽつんと空いている。もったいない、とも言えるけれど、誰も座っていないからこそ、月はひとりじめできるとも読める。空席の特等席という、ちょっと切なくて美しい発見で、この特集を締めくくります。

まとめ

エアコンの前(ぴえ子)/防波堤の猫の隣(MaYo)/窓辺の猫の席(日常生活)/母の膝(うたまる)/月の見える無人席(名無しの詠み人)——31句から拾った、五つの特等席。

ほかにも、「昼寝かな/孫の寝顔が/枕かな」(気ままにさん)という、これ以上ないやわらかい枕や、猫が自分で選んだ夜中の膝など、やっぱり猫と家族の席がたくさん並びました。豪華な場所はひとつもないのに、どれも**「ここがいちばん」**と胸を張れる。特等席って、値段じゃなくて、心地よさで決まるんですね。

参加してくださったみなさん、ありがとうございました。あなたの「今日の特等席」は、どこですか? よかったら、コメントで教えてください。