週末締めのお題**「夜風」**が終わりました。9句の投稿、ありがとうございました! 俳句4・短歌3・自由詩2という内訳です。
昼の暑さがようやく引いて、夜、すっと入ってくる涼しい風。9句を読んでいると、夜風はただ涼しいだけじゃなく、昔の記憶を運んできたり、眠る家族をなでたりと、いろんな役割を担っていました。夏の夜の、ほっとする時間の主役です。今回は5句をご紹介します。
①夕立のあとは、打ち水いらず — 川石のりたけさんの俳句
夕立や / 撒き水いらず / 宵の風
12共感でトップ。川石のりたけさんの俳句。
まずは、夏の夜の"仕組み"を気持ちよく詠んだ一句から。夕立がざっと通ったあと、地面は濡れ、気温が下がって、宵の風がひんやりと涼しい。だから、「撒き水いらず」——わざわざ打ち水をしなくても、夕立が代わりにやってくれた。この、自然のはからいに乗っかる心地よさ。夕立→濡れた地面→涼しい風、という因果が、十七音にすっきり収まって、読むだけで汗が引くようです。
②夜風が連れてくる、遠い八月 — 事件さんの自由詩
今日の夜風に / 昔日の8月を / 偲ぶ
8共感。事件さんの自由詩。
これは、夜風の"時間"を詠んだ一篇。今日、頬に触れた夜風。その感触が、ふいに昔の八月を呼び覚ます。「昔日の8月」という、少し硬い言葉づかいが、かえって遠い記憶の質感を出しているんですよね。風は、におい以上に、記憶を運ぶ。同じ涼しさの夜風が、何年も前の夏の自分を、そっと連れてくる。夜風は、涼しさと一緒に、時間も運んでいる——そんな発見のある一句です。
③孫の寝顔を、なでる風 — 気ままにさんの俳句
夜風やさし / 孫の寝顔に / 朝涼し
5共感。気ままにさんの俳句。
こちらは、家族の夜の一句。寝苦しかった夜がようやく明けるころ、やさしい夜風が、眠っている孫の寝顔をそっとなでていく。そして**「朝涼し」**。夜通し孫を見守っていたおじいちゃん・おばあちゃんの視線が、そこにありますよね。エアコンじゃない、自然の風が、いちばん無防備な寝顔を冷ましてくれる。風にも体温があるみたいな、あたたかい涼しさ。読んでいて、ふっと心がゆるみます。
④図書館の頁に、届かない風 — 名無しの詠み人さんの短歌
昼の図書館 / 夜風は本の頁に / 触れることなく / 窓の外で鳴る風を / 活字は静かに待ちぬ
3共感。名無しの詠み人さんの短歌。
これは、ちょっと知的な一首。昼の図書館。窓の外では夜になれば風が鳴るけれど、その風は、本のページには決して触れない。エアコンの効いた静かな館内で、活字だけが、外の風を静かに待っている。——夜風の「不在」を詠むことで、逆に外の世界の気配を浮かび上がらせる。届かないからこそ、意識してしまう夜風。ひんやりと理知的な、味わいのある一首でした。
⑤涼しいと思ったのに — ぴえ子さんの自由詩
夜風涼しいとか言うてた / 朝四時に目覚めて後悔 / クーラー消した自分マジ無理
最後は、ぴえ子さんの自由詩。締めは、いちばん正直な一句で(笑)。
「夜風が涼しいから」とクーラーを消して寝た。ところが——朝四時、寒さで目が覚めて後悔。「クーラー消した自分マジ無理」。夜風を信じた結果の、まさかの寒さ。この手のひら返しの落差が、おかしくてたまりません。①の川石さんが夜風の心地よさを詠んだのと、みごとに正反対(笑)。夜風は気まぐれで、ときどき裏切る。その現実を、話し言葉のまま笑いに変えてくれました。
まとめ
夕立のあとの涼しさ(川石)/遠い八月の記憶(事件)/孫の寝顔(気ままに)/図書館に届かない風(名無しの詠み人)/夜風を信じた後悔(ぴえ子)——9句から拾った、五つの夜風。
涼しさを喜んだり、記憶を呼び覚まされたり、家族を見守ったり、そして裏切られたり(笑)。同じ夜風でも、受け取り方はこんなに違う。ほかにも、風呂上がりの縁側で頬を撫でられる句や、猫が昨夜の冷たさを忘れていく短歌もありました。
参加してくださったみなさん、ありがとうございました。今夜の夜風は、あなたに何を運んできますか? よかったら、コメントで教えてください。