weekly**「晴れ間」**が終わりました。15句の投稿、ありがとうございました!
並べてみて気づいたのは、みんなが見上げた「晴れ間」が、ぜんぜん違う表情をしているということ。誰かの顔に差した晴れ間、洗濯物の上の晴れ間、夜中にふっと訪れる晴れ間——15句が、五つの異なる晴れ間を見せてくれました。
今回はその五つの表情に沿って、5句ご紹介します。
①人の表情の晴れ間 — 市井の詩人さんの川柳
雨雲が去ったあとの / 駅前で煙草吸う君の / 顔が少し優しい
6共感でトップ。市井の詩人さんの川柳。
これ、晴れ間を空に探さなかったのがいいんですよね。
雨雲が去ったのは空の話。でもこの句がほんとうに見ているのは、「君の顔」。雨のあいだ、ほんの少し険しかったのかもしれない表情が、晴れ間と一緒にふっとゆるむ。駅前、煙草、ありふれた待ち合わせの景色のなかで、天気の晴れ間が、そのまま誰かの心の晴れ間に重なる。
**「少し優しい」の「少し」**が絶妙です。劇的に笑うわけじゃない。ほんのわずかな、見逃しそうな変化。それを見つけてしまうのは、その人をちゃんと見ている人だけ、ですよね。
②現代の晴れ間 — うたまるさんの川柳
朝日さしたら / 洗濯物より先に / スマホを干す
5共感。うたまるさんの川柳。
「スマホを干す」——思わずふきだしました。
晴れ間が来たら、まず洗濯物。それが昭和も令和も変わらない梅雨のお約束……かと思いきや、手が先に伸びるのはスマホ。一晩じめじめした部屋で、湿気を吸ったような気だるい自分も、朝日に当てて**「干したい」。そんな現代人の本音を、「干す」**の一語でつないでみせた。
洗濯物とスマホを並列にしてしまう、この軽やかなユーモア。晴れ間って、こういうちょっと笑える日常も照らしてくれるんですよね。
③王道の晴れ間 — 気ままにさんの俳句
洗濯物 / ぱたぱたと鳴る / 雲の切れ間
4共感。気ままにさんの俳句。
うたまるさんが**「干せなかった」側だとしたら、こちらはみごとに干せた**側(笑)。
「ぱたぱた」——この音だけで、もう景色が決まりますよね。雲の切れ間から日が差して、風が出て、洗濯物がはためく。晴れ間の「音」をとらえた一句です。視覚で晴れ間を描く句が多いなかで、耳で晴れ間を聞かせてくるのが新鮮でした。
「雲の切れ間」と置いたことで、この晴れ間が長くは続かないこともわかる。だからこそ、ぱたぱたと鳴るその音が、今この瞬間だけのものに聞こえてくるんです。
④夜中の晴れ間 — 名無しの詠み人さんの川柳
夜中の晴れ間 / 猫が月見つめ / 僕も一緒
3共感。名無しの詠み人さんの川柳。
今回うれしい発見だったのが、「晴れ間=昼間」とは限らないこと。じつは**「夜中の晴れ間」**を詠んだ句が、けっこう多かったんです。
雲が切れて、月が出る。眠れない夜か、ふと目が覚めた夜か。猫が窓辺で月を見ている。それを見て、**「僕も一緒」**に見る。たったそれだけの、声もない時間。でも、人と猫が同じ月を見上げているというだけで、夜のさみしさが、ほんの少しやわらぐ。
晴れ間って、気持ちがふっと軽くなる切れ間のことでもあるんですよね。
⑤街角の晴れ間 — 名無しの詠み人さんの自由詩
駅前の古い薬局の / 軒先にこぼれた日差し / 昼の蝉が一声
最後は名無しの詠み人さんの自由詩。2共感ですが、これは置いておきたい一篇でした。
「こぼれた日差し」——この**「こぼれた」**が効いています。
ずっと曇っていた空から、ほんの少しだけ漏れた光が、古い薬局の軒先にぽつんと落ちる。そして**「昼の蝉が一声」**。鳴き続けるんじゃない、一声だけ。晴れ間に誘われて、ためらいがちに鳴いた、その一声。
街角の、誰も気に留めないような一瞬を、映画のワンカットみたいに切り取った。晴れ間って、こういう「気づかれない場所」にこそ降りているのかもしれません。
まとめ
人の顔(市井の詩人)/日常のユーモア(うたまる)/音(気ままに)/夜と猫(名無し)/街角(名無し)——15句から拾い出した五つの晴れ間。
今回いちばん面白かったのは、「晴れ間」がほとんど"梅雨明け"の話じゃなかったこと。みんなが詠んだのは、長く続く曇りや雨のなかの、ほんの一瞬の切れ間でした。だからこそ、その光はやさしくて、いとおしい。ずっと晴れていたら、晴れ間なんて言葉はいらないんですよね。
参加してくださったみなさん、ありがとうございました。あなたの今週の晴れ間は、どんな表情をしていましたか? 次の一句で、ぜひ教えてください。